【配膳さんという仕事】京都の人のもてなし上手に迫る1冊

PR

※当サイトは、アフィリエイト広告を利用しています

読書

料理人や建築にたずさわる職人のドキュメントなどを多く手掛ける、笠井一子さんの1冊です。

京都だけに存在した男性の接客職業のことを「配膳」と呼ぶそうで、実際に配膳さんとして生業を立てていた人への取材がまとめられています。

【この記事を書いた人】

  • 2021年10月ブログ開始。記事執筆数100本以上。
  • サラリーマン。時々、ブロガー活動。
  • 読書は小説からノンフィクションまで、月5~6冊。
  • Twitter:@Beyond-s16
この本を読みたくなる時
  • 日本文化について触れたい時
  • 明治以降の京都の歴史を知りたい時
  • 茶道の世界をのぞいてみたい時

一度は絶版になった本

もともとは向陽書房から「京の配膳さん 京都の宴席を陰で支える人」として世に出ていましたが、絶版となってしまいました。

しかし根強い後押しもあったのか、2020年に「配膳さんという仕事 なぜ京都はもてなし上手なのか」として平凡社から再販されました。

1万円選書で有名な北海道の『いわた書店』岩田徹さんも推薦の帯文を書かれていて、書店の人からも注目の高い1冊なのがわかりますね!

配膳さんの仕事は行事の進行役

配膳さんは、京都にだけ存在する男性の職業です。その歴史は、今から100年以上前の明治末期ごろから京都の町に登場したといわれています。

服装は紋付き袴、お茶会や宴会、儀式など、様々な行事の進行を万事、裏方として取り仕切っていたそうです。

読むとわかること①:おもてなしの極意

配膳さんという仕事を通して、人をおもてなしするときに何に注意を払っているかが2つの章で書かれています。

「そこまで気を配るのか」と思うところまで丁寧に考えて、もてなしを実践していることが見えてきます。

また、接客のポイントについて

「接客のポイントは客が到着した時と帰りしな」(本文より)

として、その理由や客にとって印象に残る部分を押さえているので、現代のコミュニケーションにも通じるよな、と思って読めるところが多いです!

読むとわかること②:上座、下座の見方

ビジネスマナーでも、上座と下座、よく話題に出ますよね。

宴やお茶会の席では、上座・下座は特に大事なことなので、

  • お座敷をどうやって区切って上座を作るか
  • 参列者や会の雰囲気

などに気を配るのも配膳さんの仕事です。

「『なにごとも上座から』と杓子定規に思い込み、機械的に作業していると思わぬところで失敗する。」(本文より)

のように、実際の配膳さんの現場でのエピソードを交えながら、参列者の上下関係に合わせてもてなす方法も書かれています。

読むとわかること③:お茶の知識

京都はお茶会が多く、配膳さんの出番も多いので、お茶会に関する記述がたくさんあります。

この本を読んで初めて知ったのは、茶道の流派である「表千家」と「裏千家」では、茶室に入るときの足が違うということ。

表千家は左足から茶室に入り、裏千家は右足から茶室に入るのだそうです。

笠井さん作品は古き良き京都が溢れている

作者の笠井さんが手がけた京都本には、もう1つ、炭屋旅館をノンフィクション作品があります。

一度は泊まってみたいと憧れる、日本旅館「炭屋旅館」。

京都 銀閣寺の茶室と同じ洗月床の茶室がある旅館で、

日本のわびさびの風情を感じられる空間です。

おわりに

この本と出会ったのは本屋さんで、「最近新聞の書評欄に取り上げられた本」として紹介されていたときでした。

私は表紙のデザインが好きです。紋付きを着た配膳さんがお辞儀している姿もかっこいいし、副題や帯も読みたくなる言葉が並んでいます。

これからの秋の読書にいかがでししょうか。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました