食エッセイと言えば、読んでいるうちにどんどん食欲がそそられてしまう本が連想されますよね。
以前の記事で紹介した安野モヨコさんの『くいいじ』のように、挿絵に描かれた美味しそうな食べ物を仕事帰りの電車で読もうものなら、駅についてご飯屋さんに直行したくもなります。
この記事でご紹介するのは、飯テロにならない食エッセイ本『君がいない夜のごはん』。
食べ物から連想されるエピソードばかりなのに不思議と食欲は爆発しない、そんな1冊をご紹介します。
作者は歌人の穂村弘さん
作者の穂村弘さんは歌人の他、エッセイスト、絵本の翻訳家としても活動している方です。
上智大学在学中に作歌を始め、大学4年時に「シンジケート」が短歌界の新人賞の中でも権威のある角川短歌賞の次席に選ばれました。
ちなみにこの時に角川短歌賞を受賞したのは「八月の朝」という作品。サラダ記念日で有名な俵万智さんです。
少し話が逸れましたが、歌人として活動するかたわら、エッセイストとしても筆を執る穂村さんの食べ物にまつわるエッセイが「君がいない夜のごはん」です。
日常に見出した「食べ物」に関する異色のテーマのエッセイ
以前の記事で漫画家の安野モヨコさんの食にまつわるエッセイを紹介しました。
穂村さんのエッセイを比べてみると、同じように食べ物をテーマにしつつも、全く系統の異なる1作です。
食欲がそそられるというよりも、「食べる」という行動にかかわる常識に疑問を投げかけてくれるエッセイが目を惹きます。
何かを食べたとき、「おいしい」とか「まずい」とか感じているのは舌なのか、それとも脳なのか。
たしかに言われてみると、おいしいって何?と考え込んでしまいますね。
世間ではダイエットに関して、カロリーこそ全ての基準のように思われているようだが、本当なのだろうか。カロリーってそんなに信じていいのか。
たしかに「カロリー表示を見て、500kcal以上のものは買わない」という話、どこかで聴いた事がありませんか。
本編では、カロリーに関する穂村さんの切り口がとても面白いですよ。
「え、ところてん、箸一本で食べますよね?」
驚愕の食べ方ですね。みなさんはところてん、箸一本で食べていますか。
ところてんに限らず、実は自分の食べ方、とても珍しかったりするかもしれないと思ってしまいます。
特に目を惹く3つのエッセイをご紹介しましたが、全部で58編が収録されています。
皆さんのお気に入りを探してみてくださいね!
テンポの良い文体で一気読み
この本の特徴とも言えるのが、それぞれのエッセイがテンポの良い文体で綴られていること。
また穂村さんと周りの人たちとの会話ベースで進むお話もあるので、サクサクと読めて話に入り込みやすいのも嬉しいですね。
新書の本や他のエッセイ本と比べても、読みやすいスタイルでまとめられているので、2~3駅の短い電車移動の間にも1エピソード読めて、おでかけのお供に良いかもしれませんね!
まとめ:おでかけの時は飯テロにならない食エッセイを
この記事では、歌人・穂村弘さんのエッセイ『君がいない夜のごはん』をご紹介しました。
食エッセイでありながら、飯テロにならない1冊なので、おでかけ先の電車やバスの中でも、安心して読める1冊です。
文庫本をポケットにおでかけに出かけてみてはいかがでしょうか。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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