「ウルトラライトハイキング」というキーワードと最近出会いました。
初めて見た時は「めっちゃ軽いハイキング?」となりましたが、調べてみると意外と深い。
登山中の身体への負担を下げるだけでなく、自然を楽しむ哲学まで考えられた発想です。
この記事では、書籍「ウルトラライトハイキング」に学ぶ、ウルトラライトハイキングの目的や原則をご紹介します。
- ウルトラライトハイキングの起源・目的・原則
- ウルトラライトハイキングに学ぶ荷物軽量化の6ステップ
![](https://beyond-s.com/wp-content/uploads/2021/11/f912d1b2c3ef86e8aeddcaedc0ebd42c.jpeg)
【この記事を書いた人】
- 2021年10月ブログ開始。記事執筆数80本以上。
- サラリーマン。副業としてブロガー活動。
- 登山は日帰り~山小屋泊まで。富士山経験あり。
- Twitter:@Beyond-s16
ウルトラライトハイキングとは?
そもそも、ウルトラライトハイキングってなんでしょうか。
アメリカ発祥のスルーハイクのこと
![軽装で歩くハイキング](https://beyond-s.com/wp-content/uploads/2022/02/ultla_light_hiking-1024x680.jpg)
ウルトラライトハイキングの発祥はアメリカです。
アメリカには、数千キロにも及ぶ長い登山道(ロングトレイル)がいくつもあります。
そんなロングトレイルを一気に踏破することは、「スルーハイク」と呼ばれています。
数千キロを何か月もかけて踏破するには、日々の身体の負担を減らすことが大切です。
つまり、スルーハイク中の装備や荷物を見直し、軽くすることが重要となるのです。
こうしたポイントをまとめると、
ウルトラライトハイキングのベースとなるのは
「少ない負担で」「長い距離と時間を」「歩き続ける」ことになります。
本来のハイキングの目的とは?
本来のハイキングの目的とはなんでしょうか。
たくさんの荷物を抱えて山に入ること?山の中で豪華なご飯を食べること?
ウルトラライトハイキングの根底には、
「ハイキングの目的は自然の中に身を置き、自然を感じること」があると考えられています。
こうしたベースの考え方と、スルーハイクという技術的な部分を重ねると装備に求められることは1つ。
それは「シンプルであること」です。
軽量で、シンプルな装備を使ったハイキングは、
身体への負担を減らしてくれます。
そして、身体への負担が減ることで、
本来の目的である自然を感じ、自然とつながることができるというのが
ウルトラライトハイキングの哲学とも言える考え方です。
ウルトラライトハイキングの原則
ベースウェイトを4.5kg以下に
ウルトラライトハイキングの原則とも言えるのが、バックパックの重量の軽さです。
具体的には、ベースウェイトを5kg以内とするのが目安です。
ベースウェイトとは、水・食料・燃料を除いた装備の重量のことを意味します。
数千キロを数か月かけて踏破するスルーハイクにとって、途中での水や食料の補給は必須です。
消費によって増減するモノを除いた装備を、アメリカでは10ポンド以下(4.5kg以下)とするのが、
ウルトラライトハイキングの慣例となっています。
日本の無雪期は5kg以下が標準的
上記はアメリカの場合であり、気候もトレイルの長さも違う日本国内でのウルトラライトハイキングとの対比は難しくなります。
国内のウルトラライトハイキングでは、無雪期にベースウェイトが5kg以下を目指すのが標準的となっているようです。
![](https://beyond-s.com/wp-content/uploads/2021/11/kanto-teizan-160x90.jpg)
![](https://beyond-s.com/wp-content/uploads/2022/01/image-160x90.png)
ウルトラライトハイキングで荷物を軽くする6つのステップ
![木道の中を歩くハイキング](https://beyond-s.com/wp-content/uploads/2022/02/hiking_ankle-1024x683.jpg)
ステップ①:各道具の重量を知る
まず最初にすべきこと。
それは、各道具の重量を知ることです。
「どの道具が」「どのくらいの重さなのか」を知らなければ、軽量化すべきポイントが明確になりません。
カタログに書いてある数字はあくまで参考に。
また、安い道具だとカタログ等にも記載がない場合もあります。
自分の手で道具の重さを測って一覧にしておくと一目で分かりますね。
ステップ②:重たいものから対策を練る
ベースウェイトの中で、重さの大部分を占める道具はなんでしょうか。
それは、次の3つです。
- バックパック
- マット+シェルター
- 寝袋
これら3つだけで2.5~3kgにもなります。
ベースウェイトの半分以上はこの3つの重さが占めているということですね。
言い換えれば、これら3大アイテムの重量を軽量化できれば、ベースウェイトのゴールに大きく近づけることができます。
軽量性に特化したアイテム選びを
例えば、バックパックの例。
アメリカ・コロラド州に本社を置くOSPREY(オスプレー)のバックパックは、
860gという軽量さでありながら9kgまでパッキングが可能です。
5kgのベースウェイトに、食料や水を入れればあっという間に8kg程度になります。
軽量でありながら、パッキングできる耐荷重が大きいバックパック選びが大切になります。
もちろん、肩だけで支えることに不安があるならば
ウェストベルト付のバックパックを選ぶなど、軽さ以上に自分に合わせた道具選びを心がけましょう。
ステップ③:ひとつの道具を多用途に使う
山で必要となる道具やその利用シーンはさまざま。
つまり、用途ごとに多様なアイテムが用意されているので、すべてを持っていこうと思えば
ベースウェイトは急激に重くなります。
軽量化のコツは、1つの道具を多用途に使うことです。
ウィンドシェルとGORE-TEXのレインウェアなら、レインウェアだけを持っていく。
ダウンやフリースなどの防寒ウェアを1枚やめて、災害用に買っておいたサバイバルシートを持っていってみる。
こうした1つ1つの道具選びが、最終的なベースウェイトの軽量化につながります。
ステップ④:必要な中で最小なものを選ぶ
「これは絶対に必要だ」と思ったら、その用途を考えてみましょう。
モノではなく、用途に注目することで「○○で代用できる」という発見があるかもしれません。
例として、タオルがあります。
汗や雨、沢で濡れた身体を拭いて体温維持に使えます。
用途は「水分を吸ってくれること」。
この用途が目的ならば、バンダナのような薄い布地でも代用できますし、
スイムタオルのように絞れば吸水性が復活する素材を選ぶ方法もありますね。
ステップ⑤:使えないもの、使わないものは持っていかない
必要以上に用意した着替えなどは、結局使わない上にベースウェイトを増やす肥しになってしまいます。
山小屋などがある登山道を行くのであれば、どうしても必要になったら購入するという方法もあります。
ファストエイドキットやリペアグッズのような必要不可欠なアイテムも、中身が過剰過ぎないか見直すと軽量化できることもありますよ。
ステップ⑥:「自分を知り」「目的地の状況を把握する」
ここまでのステップの中でも、判断に困るアイテムがあるかもしれません。
そうした時は、「自分の力量を知り」「目的地の状況を把握する」ことで、減らせるか判断しましょう。
自分の力量に不安があれば、道具を活用するのは立派な手段ですし、目的地の状況に応じて減らせる荷物もあると思います。
例として、ストックが挙げられます。
ヒザに不安があるならば、ストックがあることで安心して登山を楽しめるでしょう。
また、荷物を軽量化するために、スポーツタイツに換えるというのも方法です。
終わりに:日本ではまだまだ普及途上
ウルトラライトハイキング、日本ではまだまだ普及途上の楽しみ方と思います。
理由としては、アメリカのスルーハイクのような長大な登山路が少ないことかもしれないですね。
グレートトラバースの日本三百名山のような、人力で歩き続けるスタイルに近いです。
とはいえ、その考え方や目的はアマチュア登山家にとっても学ぶことが多いのも事実。
次の山行に活かしていきたいですね。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
コメント