ふとした時に感じる「今の仕事を続けて良いのだろうか」という悩み。
その悩みの原因、それは「現代のキャリア形成は目標が立てにくくなっているから」。
書籍「『目標が持てない時代』のキャリアデザイン」を参考に、
人生100年時代のキャリアデザインを豊かにするための4つのステップを取り入れてみましょう。
【この記事を書いた人】
- 2021年10月ブログ開始。記事執筆数80本以上。
- サラリーマン。副業としてブロガー活動。
- 1か月の読書は5~6冊。
- Twitter:@Beyond-s16
キャリアの目標が持てない時代が到来中
人生100年時代と言われる現代。
企業では定年の引き上げや、定年制度自体の撤廃をして、人生の中で働く時間はどんどん伸びていこうとしています。
一方で「AI技術によって10年後に消える職業」が取りざたされたり、
人口減少やコロナショックによって、従来の「働き方」も変化してきています。
今までのキャリアの考え方では、目標自体が消滅してしまうほどの大きな変化が来ているとも言えます。
書籍「『目標が持てない時代』のキャリアデザイン」では、これからの時代のキャリア形成には、次の4ステップが重要だと説いています。
【目標が持てない時代のキャリアデザインの4ステップ】
- キャリアの目的を育てる。
- 2つの体質を改善する。
- たくさんの目標を作る。
- 楽しく実験する。
という4つのステップが重要と説いています。
ここからは、4つのステップですべきことを見ていきましょう。
キャリアデザインの4ステップ
ステップ①:キャリアの目的を育てる
一番最初のステップは、キャリアの「目的」を育てること。
似ている言葉に「目標」がありますが、キャリアデザインの中ではちょっと違う意味になります。
【目標の言い方】
「私は~になりたい」「私は~になるぞ」
目標は「~になる」なので、どこかにゴールが決まっています。
一方の目的は
【目的の言い方】
「私はいつも~でありたい」「私は~な存在でいたい」
のように、状態を表します。
つまり、決まったゴールではないんですよね。
「1つの目標を決めて、ブレずに頑張る」のではなく、
目的のためにたくさんチャレンジして、その経験を通してキャリアが完成していく。
この考え方を「目的を育てる」と言います。
ステップ②:2つの体質を改善する
次に、2つの体質を改善していきます。
その2つとは、「成長体質」と「ネットワーカー体質」。
「ネットワーカー体質」とは、人とのつながりをどんどん広げていくことです。
仕事につながる人脈作りと言うと、どんどん新しい人と出会うイメージかもしれません。
ネットワーカー体質は、新しい出会いと同じくらい懐かしい出会いも大切にします。
地元の地域活動やNPO活動、学生時代の友人など、ジャンルや業界を問わずに出会っていく習慣作りをしましょう。
「成長体質」とは、常に新しいことに取り組み続けることです。
自分が初心者・入門者のことに触れる機会を作っておくと、簡単に成長体質づくりにつながります。
著者の片岡さんは、仕事のスキルとは別に『芸術』と『スポーツ』の成長領域を持つことを推奨しています。
芸術=アートは、経営に取り込もうとする企業もでてくるほど、注目度が上がっている領域です。
アートと経営の関係をもっと知りたい方は、こちらの本が分かりやすいです。
ステップ③:目標をたくさんつくる
3つ目のステップは、「ちょっとやってみよう」という目標をたくさんつくることです。
1つ目のステップで、目的として「私は~な存在でありたい」と決めたとします。
この「私は~な存在」につながる目標を、たくさん作っていくのです。
日本の就職活動では、適職診断などで「あなたは○○の仕事が向いています」と結果が出ると
それらを元に仕事を選んだり、場合によっては異動などにもつながってきます。
適職診断の結果は、『これまでのあなた』が適している仕事。
これからの経験次第で、どんな仕事にも適性が出てくる可能性があります。
自分のできることで「やっていないことを積み上げていく」ために、
目標をたくさん作りましょう。
まずは、気になるキーワードを挙げるだけでも、見え方が変わります。
私はキーワードを挙げる時に、マンダラートやマインドマップを書いてみています。
ステップ④:実験する
ステップ③でたくさん作った目標を実験していきます。
ここで大切なのは、安全を確保しながら実験することです。
例えば、やってみたいビジネスがある場合。
副業禁止の会社に所属しているならば、収入を得てしまうとクビになるリスクがあります。
無償のボランティアとして実験してみるのが無難ですね。
すぐに試せない時は人のネットワークにインタビュー
やってみたい目標をすぐに実験できる環境とは限りません。
上の例のように職場が副業禁止だったり、業務の縛りが厳しい部署ならなおさらです。
そんな時こそ、ステップ②「ネットワーカー体質」で培った人のネットワークの出番です。
自分が立てた目標を実践している人がいれば、インタビューしてみましょう。
インタビューで聴きたいのは次のようなポイントです。
【インタビューの質問ポイント】
①目標を立ててから現在までの出来事
- 目標を立ててから、どんなことをしてきたのか。
- 何から始めて、どの順番で進めてきたのか。
- もう一度やり直すとしたら、何をするか。
②日々の生活
- 普段のタイムスケジュール。
- どんな人に会うか。
- どんな作業をしているか。
③その仕事の本質
- 大変に感じることは何か。
- 以前ともっとも変わったことは何か。
詳しい人にこれらの質問を聴くことで、キャリアの実験に近い情報を得ることができます。
どんな答えが返ってくるかを楽しみつつ、時間を割いてくれた相手に感謝しながらインタビューにのぞみましょう。
4つのステップを繰り返すこと
4つのステップは、繰り返し見つめ直すことが大切です。
ステップ④の「実験」を通して、ステップ③で作った「目標」が新たに出てくるかもしれません。
また、ステップ②の「成長体質」を通して、ステップ①の「キャリアの目的」自体が軌道修正になることもあり得ます。
『キャリアの目的』である『私は~な存在でありたい』を目指すには、
定期的に各ステップを見直すのが効果的です。
4つのステップがキャリア以外にもらたすメリット
ここまで出てきたステップには、
「もっと本を読んで知識を身に着けよう」
とか
「グローバル時代だから英語が大切」
とか出てきません。
つまり、ビジネスやテクニカルなスキルをどんどん身に着けること以上に
「どんな目的を持つか」
「どんな人とつながるか」
にスポットが当たっています。
長く働き続ける必要が出てきているからこそ、
人生の目的とリンクさせてキャリアを考えることが大切という意味だと思います。
そして、これからの自分の適性を見つけるために「まだやっていないことをどんどん試してみる」。
日本では一時期「選択と集中」という言葉があちこちで聞かれましたが、
短兵急な目標達成のために絞るのではなく、いろいろチャレンジし続けることがキャリアを拓くカギになると思います。
終わりに
「人生100年時代」や「終身雇用制の崩壊」、これから社会に出ていく世代にとって
私たち現役世代が伝えるキャリアの考え方は使えるのか。
そんな疑問に思っていた時にこの本に会いました。
本の中では、各ステップのケーススタディやワークショップ形式の問題もあるので、
試してみると新しい発見があるかもしれません。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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